9月の独立記念日と無形文化遺産のメキシコ料理を体感する9日間ツアーにちなみ、前回はメキシコ原産3大食材のとうもろこし・豆・唐辛子の中から唐辛子「チレ」をご案内しました。今回は「トウモロコシ」そしてメキシコ人の国民食「トルティージャ」「タコス」をご紹介します。

メキシコ料理といえば「タコス」を思い浮かべる方が殆どだと思います。日本でも気軽にタコスが食べられるお店がだいぶ増えましたが、それでも多くの方は「本場メキシコでタコスを食べてみたい!」思っていることでしょう。それが口に合おうが合うまいが、やはり現地で本場の味を堪能するのは格別です。その土地の気候や風土が、その食べ物をより一層おいしく引き立たせるからです。

ところで素朴な疑問。なぜ「タコスTACOS」というのでしょう?「スS」が付いているので、タコスという単語は複数形です。1個だけならウン タコUN TACO、2個ならドス タコスDOS TACOSです。このタコTACOという言葉の語源はアステカの人々の使ったナワ語TLAHCOだそうで、半分とか半分にという言葉に由来があると考えられています。タコスはトルティ―ジャを半分に折るところからしても、もっともらしい説ですね。そうです、タコスとは、このメキシコ原産と言われているトウモロコシから作る「トルティージャ」に様々な具材を挟んだものをいいます。トルティージャが無いとタコスにならないのです!

 

メキシコ原産トウモロコシ

では、このトルティージャの原料「トウモロコシ」について少し触れていきましょう。メキシコ原産説が根強いのは、野生の原種にあたる「テオシントレ」が見つかっているからです。これは現在のトウモロコシよりかなり小さく4cmぐらいだったそうで、これを食したという考古学的証拠は紀元前6千年頃のものだそうです。今から8千年以上前ということになりますね。そして品種改良が重ねられていき、紀元前2000から3000年の間には現在のトウモロコシにあたるものが出来上がっていたようです。

余談ですが、メキシコには多くの神様がいるのですが、トウモロコシの神様もちゃんと存在しています。マヤ語でム・カッシュ、ユㇺ・ウイルなどの呼び名がありますが、アステカ文明では「シンテオトル」として知られています。今でも多くの地域でその信仰、儀式などが残っています。

 

トウモロコシからトルティージャへ

さて、どのようにトウモロコシからトルティージャを作るのでしょうか?まず、刈り取ったトウモロコシの粒をばらばらにして水に浸します。そして水に石灰の粉をいれて沸騰させ、とうもろこしの粒を入れて15分くらい煮込み、一晩冷まして置いておきます。この過程を「ニシュタマリサシオン」というのですが、この石灰が入ることにより、トウモロコシに欠けるアミノ酸の一部が補強できトウモロコシの粒は柔らかく粘り気が出てくるのです(トウモロコシの粉を水に溶かしただけではトルティージャは作れません)。これを固めてパン生地のようになったものを丸め、薄く伸ばして焼いたものがトルティージャです。これはメソアメリカ地域の人々のすごい発見、テクノロジーのひとつと言えるのですが、この「ニシュタマリサシオン」という過程を踏まないと、とうもろこしの消化は難しく、また栄養失調病のひとつのペラグラという病気にもなりやすいのだそうです。独立記念日と無形文化遺産のメキシコ料理を体感する9日間ツアーでは、ここまで本格的ではありませんがトルティージャ作りを本場メキシコで体験していただけますので、お楽しみに!

 

タコスいろいろ

さて、それではメキシコ本場の味、タケリアで食べたくなるタコスをご紹介します。タケリアTaqueriaとはタコス屋さんのことです。どんなタコスがメジャーなのか見ていきましょう。ちなみにメキシコ伝統料理を堪能する9日間の食文化ツアーでは自由時間中に是非タケリアに行って頂きたいと思い、いくつかタケリアをピックアップしてご案内する予定です。

1.牛肉のタコス

スワデロSuaderoは牛のおなかとモモの間の筋肉質でない柔らかい部分を使ったもの。熱湯に入れてゆでたあと、油で炒めます。その他、舌 LENGUA、脳みそ SESOS、ほっぺ CACHETEなど様々な部位があります。日本の焼肉と一緒ですね!

2.豚肉 タコス・デ・カルニータス

豚肉を豚のラードとともに3-4時間煮込んだものがカルニータスです。人工的な油を入れない、豚だけの本当のうまみが浸み込んでいると言えます。それを丸太のようなまな板の上でばしばしっと切られたものをトルテイージャにのせ、シラントロ―(パクチー)、玉ねぎ、ライムをお好みで入れます。

3.タコス・デ・コチニータ

ユカタン料理の代表的存在コチニータ。アショテというユカタン料理に欠かせない調味料と柑橘系のカボスのようなオレンジで豚肉をマリネし、それを土の中に鍋ごと入れてバナナの皮をかぶせ蒸し焼にします。もちろん都会では圧力なべ等で作ります。アショテは赤い色素の木の実で、昔から染料にも使われており、唐辛子のような辛さはないのですがお料理にコクがでます。数時間後にはこのアショテとオレンジがしみ込んだ豚肉はそれ自身の脂で自然にほぐれるほど柔らかい状態になります。それをトルティ―ジャに挟むのがタコス・デ・コチニータ。これには紫玉葱とアバネロが欠かせません。

4.タコス・アラベ、タコス・アル・パストール

やはりこれらも豚肉なのですが、垂直型肉焼き機にて豚肉をじっくり焼きます。16世紀のスペイン人侵略以降、メキシコにはスペインやオリエンタルなどの文化が入ってきました。プエブラ州で1930年代に始まったとされています。ドネルケバブのようなもので、最近は日本でもこういったお店を見かけるようになりましたね。このタコス・アラベ=アラブ風タコスは、トウモロコシではなく旧大陸風に小麦粉のトルティージャを使います。アラブ地域ではシャワルマと呼ばれ、ラム肉を食べるのですが、このメソアメリカ地域ではそれが豚肉になりました。

さらにタコス・アル・パストールは、同じように垂直焼き機で豚肉を焼きますが、こちらはメキシコ元来のトウモロコシのトルティージャを使い、最後にパキッとパイナップルを入れるというスタイルです。パイナップルを入れる根拠ははっきりしていませんが、胃がもたれないよう肉の消化を助ける役目にもなっているそうですから、もしかしたらメキシコ人の智恵なのかもしれませんね。

5.羊の肉タコス・デ・バルバコア

こちらは肉は肉でも羊です。6時間くらい蒸し焼きする際にリュウゼツラン系のマゲイの葉を焼いたものとアボカドの葉を入れるのが特徴です。その土地にあるもので風味がでます。これはサンルイスポトシ州やイダルゴ州あたりが発祥といわれています。その他唐辛子ベースのソースや野菜なども一緒に煮込むことで、羊肉の匂いは無くなりちょっと手でさわるだけでほろりと骨が取れる状態になります。サルサベルデや玉葱、シラントロ―などを薬味で乗せて食べます。

その他、シーフードや、おかずのようにコロッケや卵料理やサボテン…etcを乗せたり等、実にバラエティ豊かです。

最後になりますが、タコス図鑑なるものがメキシコにはあります(下記参照↓)!こんなちょっと面白いタコスの食べ方注意事項が載っていて、メキシコ人のタコスへのこだわりを強く感じます笑。2019年のメキシコ国立自治大学の地理学者の計算によれば、メキシコには平均400m以内に一軒のタケリア、人口1039人ごとに一軒のタケリアがあるそうです。日本の2016年の統計では10万人に18軒の寿司屋があるという数字だそうですから、人口5555人ごとに寿司屋1軒となります。比較になるかどうかわかりませんが、メキシコでは犬も歩けばタコス屋にあたるという感じでしょうか。

メキシコ原産3大食材の1つトウモロコシ→を原材料としたトルティージャ→が無いと出来上がらないタコス、の切っても切れない関係をご案内しつつ、様々なタコスをご紹介しました。ガイドが付いて安心の食文化ツアーにご興味がある方はこちらのページをご覧ください。

 

 

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